COVID-19で大きく変わった働き方やニューノーマルに対応したビジネス。特に影響度の大きい米国シリコンバレーでは、どうなっているのか、またニューノーマルに向けてどのような準備が必要なのか。MODEのCEOである上田 学(ウエダ ガク)が、シリコンバレーより2020年を締めくくるオンラインセミナーを12/10に開催いたしました。MODEがどのようにCOVID-19の変化に対応してきたのか、そして2021年に向けた展望を含め、余すところなくご紹介したセミナー内容を公開いたします。
はじめに
ー自己紹介
ーコロナで加速した3つの「R」
ー市場のニーズの変化
2020年の振り返り
ー今年リリース/リニューアルした3つのもの(MODE ROBOT CLOUD/MODE MOBILITY CLOUD/MODE SENSOR)
ー2020年の技術革新
ー2020年も安定運用を実施
ー2020年のまとめ
2021年に向けて
ー約6億円の資金調達を実施
ーリアル世界のビジネス・オペレーションはデジタル化される
ーリアルタイムのデータ活用するとどんないいことがあるの?
ーMODEのテクノロジービジョン
最後に
ーMODEは、テクノロジをパッケージ化、すぐに業務に使える形で提供します。
ーMODEは現実世界にIoTを使い日常生活に生かしていく、リアル・ビジネスのデジタル化パートナーになります。
ーQ&A
■ はじめに
ー自己紹介
まずは、私の(CEO上田)の自己紹介を簡単にさせていただきます。私自身、今日もシリコンバレーにおりますが、2001年にシリコンバレーに引っ越して来年の2月で20年になります。Yahoo,Google,Twitterなど色々なTech企業でエンジニア、エンジニアリングマネジメントとして働き、2014年にMODEを創設し、6年になります。今年はコロナで働き方が激変しすごく大きな変化がありました。ただ変化が大きかった割に、なんとか人間も企業も対応できるものだと感じました。
MODE社はチームの半分がアメリカ、チームの半分が日本なんですが、コミュニケーションをすごく大切にしている会社だったということもあり、出張をよくしていました。2019年を振り返ると東京オフィスに数えると51日出張で行っていました。なので東京で散髪ができるくら行っていたんですが(笑)、2020年はゼロになってしまいました。今年は全てのMTGがビデオ会議になったこともあり、東京のメンバーとのビデオ会議を数えてみると1051回していました。コミュニケーションの量は昨年と比較してそこまで減っていないのかなと感じました。逆に場所が関係なくなりチームのダイナミクスが変わったこともあり、時代の変化に対応できていると感じました。
コロナの以前からアメリカのスタートアップ企業のなかでフルリモートの会社は5-10%あったんです。オフィスを構えずアメリカだけではなく海外も含めいろんな人材をバーチャルで束ねてオンラインで仕事するという企業が結構出てきました。そういう企業もある中で、MODEはFace to faceのコミュニケーションを大切にしていたんですが、フルリモートでの会社が広がっている。これは徐々に増えてきていたんですが、コロナをきっかけにもともとオフィスを持っていた会社がフルリモートに切り替えるということが起きています。これを考えると起こるべきことが、ただ早まっただけのよう感じています。ビジネスの観点で言うとコロナの影響というのは世の中の変化を後押しする形になっているんじゃないかなと思っています。
ーコロナで加速した3つの「R」
[REMOTE/リモート化]
コロナにより実際にオフィスに行き話したり施設へ行って調査をしたりするのが難しくなってきています。そこで技術を使い遠隔で実施するということが進んでくるようになります。リモート化により行くオーバーヘッドが減り効率が良くなったというメリットもあります。
[ROBOT/無人化]
危険を伴ったり衛生上の問題で、人間ができればいないほうがいい、という仕事がたくさんあります。例えば施設の清掃だったり工場で搬送したり。これらもコロナがウィルスの伝染病ということもありまして、もともとあったニーズが顕在化して一気に加速する方法に進んでいます。
[REAL TIME/リアルタイム化]
リモートにも関連しますが、遠隔地(公共施設など)の状況把握というニーズが、コロナによって例えば混雑状況を今すぐ知りたいなどのニーズが加速しています。人間ではなく機械が混雑状況をレポートすることでラグを減らすことが可能になっています。
ー市場のニーズの変化
2020年に特に見られた傾向としては、コロナにより「今すぐ始めたい」というお客さんや、今まではソフトウェアに関連がある方との話が多かったんですが、世の中が変化している時は今まで必要なかったが、技術の詳細は分からないながらも今すぐ欲しい、ただどうやって作っていくのかはわからないというお客さん、混雑可視化のソリューションはいくつかあるものの企業の場合、自社に合わせてカスタマイズしたいというお声をよく聞きました。
そこでMODEでは、「導入までのスピードが速い」「IoTの技術が分からなくても使える」「必要に応じてカスタマイズできる」といった今すぐに使えるIoTのパッケージソリューションを打ち出し展開することができました。
■ 2020年の振り返り
ー今年リリース/リニューアルした3つのもの(MODE ROBOT CLOUD/MODE MOBILITY CLOUD/MODE SENSOR)
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- MODE ROBOT CLOUD
- ロボットの導入に拍車、ロボットを遠隔からサポートするというニーズにもこたえるもの。
- MODE MOBILITY CLOUD
- 営業車両の安全運転を遠隔から集中的に把握するもの。
- MODE SENSOR
- すぐ使える混雑のリアルタイム可視化
- すぐ使える混雑のリアルタイム可視化
- MODE ROBOT CLOUD
ー2020年の技術革新
- IoTビデオ機能をプラットフォームに一般化し実装しました。ビデオを撮る業務アプリケーションで起きたものを記録するというニーズはあるものの、それを実現できるエンタープライズソフトウェアソリューションは世の中にあまりないんです。もともとMOBILITY CLOUDで走行中の危険運転を記録するという機能から派生させ、いろんな場面で使えるようにしました。
- ビデオ機能を実現させるための基礎技術、ストリーミングデータサービス(SDS)のプラットフォーム化をしました。途切れなくデータが流れてくるものに対してクラウドに収集するためのソリューションです。ビデオ以外でも振動データや写真のような大きなファイルを継続的に撮るみたいなものに対しても使えるデータソリューションになっています。
- IoTの場合センサーや機器からデータ収集するということが必ず発生します。今までMODEでは車載用、据置用のゲートウェイとして2種類用意していたのですが、2020年にRaspberry Piをデータ収集デバイスの標準ラインナップとして追加しました。INTEL NUC5から新しいバージョンのINTEL NUC7に対応しました。Raspberry Piは低コストというのがまず嬉しいことだと思います。多くの拠点に展開する場合にこのコストインパクトは非常に大きいものだと思います。
ー2020年も安定運用を実施MODEはスタート以来、大きな障害はないのですが、2020年も稼働率100%、障害ゼロを達成いたしました。これは簡単に実現できるものではありません。今まで業務レベルの安定性を実現するために70台以上のサーバを使って、かなり拘ってインフラを作っています。これによりホリゾンタルにスケーラブルかつどのマシーンも冗長化されているのデータベースサーバーがクラッシュしてもその多どのコンポーネントがクラッシュしても動き続けることができます。故に稼働率100%、障害ゼロが達成できています。
ー2020年のまとめ
コロナという100年に一度の年になりましたけれども、それによって徐々に起きていたニーズが急激に加速化して世の中が変わってきていると思います。今すぐ対応したいという緊急ニーズが非常に高まりました。それに対してMODEでは今まで培っていたIoTソリューションをパッケージ化してすぐに使いたいというニーズにお答えしてきた、というのが2020年でした。
■2021年に向けて
ー約6億円の資金調達を実施
今日(2020/12/10)ちょうどアナウンスすることができたんですけれども、MODE社のさらなる展開に備え、約6億円の資金調達を行いました。日本のグローバル・ブレインをリードインベスタートして、サンフランシスコにあるTure Ventures、ニューヨークのCompoundという既存投資家からの追加投資を受けました。
ーリアル世界のビジネス・オペレーションはデジタル化される
2021年、リアルな世界のビジネスオペレーションがソフトウェアを使うことでデジタル化されると考えています。これはどのような分野でも言えることではないでしょうか。例えばロジステクスだったり店舗だったり工場だったり、今把握されていないオペレーションはたくさんあります、むしろPOSのような把握されているものの方が少ない状況です。リアルな世界のビジネスオペレーションのデジタル化、これが2021年加速していくと思います。
なぜそう思うか、オンラインの世界ではビジネスの勝ち負けが変わるデータ解析/活用は、10年以上前から行われているからです。一方リアルの世界は思った以上に行われていない。オフラインの世界で起きていることをリアル(オフライン)の世界で起きるのは自明ですので、これをやっていかないといけないと思います。ーリアルタイムのデータ活用するとどんないいことがあるの?
計測→判断→判断という改善のPDCAサイクルがあります。「ビジネスのアクティビティを”計測”する」「計測したデータをもとに人間が”判断”をする」「判断したものを”改善”のためのアクションしていく」これがデータ計測がリアルタイムになりリモート化することで全ての自社のオペレーションを計測することができます。これにより改善のPDCAサイクルが劇的に早くなります。リアルタイムでビジネスの状況を把握することは非常に大切です。これがオンラインのビジネス進化の速さの大きな要因の一つです。これをリアル(オフライン)の世界にも取り入れるべき、そしてこれは20年前までは難しかったのですが、IoTの技術の進化によりできるところまで来ました。あとは誰が早くやるか、という部分に尽きるのではないかと思っています。ーMODEのテクノロジービジョン
リアル(オフライン)の世界でのデータ活用を実現するためのテクノロジー・ビジョンとしてMODEでは2021年に対し2つのものを掲げています。一つは「遠隔ビデオ録画」もう一つは「エッジ・コンピューティング」です。
例えば加速度センサーやスピードのデータ。データをもとにいつどこで何があったかはわかりますが、何が起こったかまではわからないのが現実です。しかし、その場面のビデオクリップがあれば、センシングのデータで異変があった時に人間が見るビデオのデータと組み合わせることによって実際何があったかを確認できるようになります。これが繰り返されるとデータを見るだけで、何が起きたかわかるようになり、データをもとに最適な対策が取れるようになってくるのです。
続いて、エッジ・コンピューティングです。言葉としてはよく聞かれるようになってきていると思いますが、実際にどんな場面で何に使うのかまで提案していきたいと思います。まずIoTの世界で起こりがちなものとして、整理されていない膨大な生データが集まってきます。これをクラウドに集めるのですが、クラウドに莫大なデータが集まると処理に莫大なコストがかかってしまいます。ですが、MODEゲートウェイという技術を使えば生データを解析をすることで認識に変え、認識の上整理されたデータをクラウドにあげることができます。その結果、クラウド上の後処理のかなりの部分が不要となります。それによってデータがより活用されやすくなります。例えば、毎回毎回膨大なデータを入れ知識を検出するのではなく検出されたものをデータのソースとして入れることでより業務に活用しやすくなります。
同じように動画のストリームを収集してカメラとエッジAIが組み合わさったスマートなセンサーが技術上できます。エッジAIをデプロイしていく技術としても使っていきたいと思います。同じく2021年に普及していきますローカル5Gですが、低遅延広帯域を生かしたアプリケーション実装にはエッジコンピューティングの基盤が欠かせません。低遅延広帯域なローカル5Gからインターネットに行って戻ってきてしまうと良さが失われてしまいます。そのためローカル5Gの良さを生かすためにも必要な技術になってきます。■最後に
ーMODEは、テクノロジをパッケージ化、すぐに業務に使える形で提供します。
2021年のMODEはテクノロジーをパッケージ化してすぐに業務に使える形で提供することにより力を入れていきます。基本技術がコンポーネントとして用意されていますので、これを組み合わせて実際の業務でどう使うかという部分を含めて、提案を行なっていきたいと思います。
ーMODEは現実世界にIoTを使い日常生活に生かしていく、リアル・ビジネスのデジタル化パートナーになります。
MODEでは今までもお客様のパートナーとしてデジタル化を実現するためのノウハウを持った専門家として一緒にプロジェクトを進めています。買っておしまいではなく利用してどういったビジネスを作るのか、どういったビジネスオペレーションにIoT技術を組み込むのか、丁寧にプロジェクトを進めてまいります。それを実現するためのカスタマーサクセスチームを日本にも展開する予定です。
MODE、日本に進出して3年になりますが、2020年の振り返りと2021年のビジョンに関してお話をさせていただきました。今日はお集まりいただきどうもありがとうございました。
ーQ&A
[Q]
デジタル化が進まない原因は日米で若干異なるかも知れませんが、どのような原因が考えられるでしょうか?またその原因に対してMODE社では今後どのように取り組まれようとしていますか?
[A]
ご質問ありがとうございます。私アメリカにずっと住んでいますが、アメリカの世の中が変わっていくペースは意外と早いと思っています。アメリカのデジタル化が大きく進むケースはディスラプションです。今までやられていた企業に対し、全然違う考え方を持った新しい企業が入ってきて、その業界を塗り替えてしまうというようなものです。なので、既存の事業を持っている方からするとすごくやりづらいですよね。これがアメリカの基本的なデジタル化のパターンでこれがあらゆる分野で起きています。最初の頃はソフトウェアだけでできるものが多かったのですが、ハードウェアを含めたものも増えてきました。
日本ではディスラプトはそこまで起きていないのでは?というのが私の印象です。ディスラプトを行うためには大量の資金が必要ですが、その規模のディスラプターが日本ではまだまだ現れていないのではないかなと思っています。逆にいうと、既存の企業が変化をするための時間猶予がまだあると思っています。MODEではこういったすでに事業を持っているビジネスに対してデジタル化をするためのパートナーになりたいと思っていますので、ディスラプターが現れる前にMODEと一緒に新しいデジタル化された世界のトッププレイヤーになれるように支援していきたいと考えております。