MODE, Inc.(本社:アメリカ合衆国・カリフォルニア州サンマテオ、CEO:上田 学、以下、MODE)は、日本支店 設立7周年を記念して、2024年9月5日(木)に東京ミッドタウン日比谷 BASE Qにて「MODE CHANGE AI-driven IoT - 社会実装を加速する - 」を開催し、369名の方にご来場いただきました。
イベントでは、建設、物流、不動産業界などでMODEのIoTプラットフォーム「BizStack」とAIアシスタント「BizStack Assistant」を活用した効率化とデジタル化の成功事例が紹介されました。特に、MODEのセンサー技術能が、遠隔監視、業務の自動化、AIを使ったデータ解析などに活用され、企業の持続可能性や業務の効率化に貢献している点が取り上げられました。また、西松建設やニチレイロジグループ本社などの導入事例を通じて、AIやIoTがPoCではなく実際に社会実装され活用されている事例について解説しました。
以下は各セミナーの概要です。
シリコンバレーで長年エンジニアとしてテック企業の興隆を見てきたMODEのCEO 上田は、生成AIこそ、産業革命以上の社会変革を与える技術になりえると語りました。洋の東西を問わず、デスクワーカー向けには生成AIを組み込んだアプリが数多ある中で、作業現場に向けた生成AIアプリを提供しているのはMODEだけだと語りました。
日本では特に、働き手不足が顕著で、中でも建設業界における働き手不足は深刻です。MODEが提供するAIアシスタント「BizStack Assistant」とセーフィーのクラウドカメラ、BONXのBONX WORKを組み合わせて西松建設が活用している様子も紹介しました。
AIは、現在はテキストベースでの入出力による活用が多いですが、今後はマルチモーダルが主流となると予想します。音声で入力をし、音声や映像のような出力へと移行していくのです。
さらに今後、バーチャルなインターネットの世界は、非バーチャルな現実世界へと染み出していくとも言います。カメラ、インカム、ドローン、ロボットが繋がる環境となり、MODEはその実現に向けて取り組んでいると話しました。
登壇者:MODE, Inc CEO 上⽥ 学
MODE CTO Ethan Kanからは、MODEの「BizStack」「BizStack Assistant」を構成するテクノロジーを紹介しました。「BizStack」は、IoTデータを取得・統合します。その情報をLLM(Large Language Model)に基づくAIアシスタントに接続することで、「BizStack Assistant」を実現しています。データの取得、エンティティシステムによるデータ整理、ベクターデータベースを活用して、ユーザーの質問に応じた情報を提供します。
プロダクトマネージャー 渡邊 飛雄馬からは、BizStack Assistantの新しい機能が紹介されました。従来のAIモデルを作るための大規模なトレーニングは不要で、映像や音声を活用するマルチモーダルなLLMを活用することで、迅速にこうした機能を実装できることが強調されました。
登壇者:MODE, Inc CTO Ethan Kan
MODE, Inc. プロダクトマネージャー 渡邊 飛雄馬
現場DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組む企業のCEOが集まり、各社の取り組みや将来の展望が語られました。セーフィーの佐渡島氏は、クラウドカメラ技術を用いて、建設現場や他の業界での効率化を進めるビジョンを説明。BONXの宮坂氏は、音声コミュニケーション技術が現場の生産性向上や安全確保に貢献する事例を紹介しました。3社による連携を通じて、映像、音声、センサー、AIを組み合わせたマルチモーダルな統合システムを構築し、現場作業の効率化と遠隔管理の新たな可能性について語りました。
登壇者: セーフィー株式会社 代表取締役社長 CEO 佐渡島 隆平氏
株式会社BONX 代表取締役 CEO 宮坂 貴大氏
MODE, Inc CEO 上⽥ 学
セーフィーの永目氏は、建設現場における映像技術の活用と未来の展望について話しました。セーフィーはクラウド型の映像管理プラットフォームを提供しており、固定型やウェアラブルカメラを使った遠隔監視により、施工管理や安全管理を効率化しています。労働人口の減少や残業規制を背景に、遠隔施工管理の重要性が増しており、現場の生産性向上を目指しています。セーフィーは、映像データとAI技術、センサーを組み合わせた管理を推進し、今後もBONXやMODEと連携して現場DXを加速させる計画であると、展望を語っていただきました。
登壇者:セーフィー株式会社 営業本部 事業戦略部 副部長 永目 竜聖氏
音声コミュニケーションツールを提供しているBONXの國生氏は、BONXが提供するデスクレスワーカー向けのサービスや、AIと人間が協働する形で現場業務の効率化を目指す取り組みについて紹介しました。BONXが目指す未来像は3ステップに分かれます。最初のステップは人間同士のコミュニケーションを円滑にすること、2つめのステップはAIを活用することで現場の管理を効率化すること、3つめのステップは蓄積されたデータから、AIに示唆を出してもらうことです。最終的には、全ての人にAIアシスタントがつく未来を目指しており、今後も技術を発展させていく計画であると語りました。
登壇者: 株式会社BONX CEO室 事業開発 國生 啓佑氏
前田建設工業の川西氏は、建設業界におけるDXの推進について発表しました。特に、子供向けゲーム「マインクラフト」を使って、阿蘇立野ダムの再現を行い、建設プロジェクトの新しい形を探る取り組みを紹介しました。また、BIM/CIMや3Dデータを活用したプロジェクト管理や、DXによって現場作業の効率化を図る方法を強調し、MODE社との協業により、ダムの水圧データ管理などの効率化に成功したことを説明しました。これにより、データ管理作業の労力を半分以下に削減し、より創造的な業務に集中できる環境を実現しています。また、川西氏は、建設業の未来像として、教育、テクノロジー、クリエイティブの三要素を組み合わせた「夢求プロジェクト」を提唱し、独自に開発した3D教育サービスを提供開始するなど、新しい建設のあり方を紹介しました。
登壇者:前田建設工業株式会社 技術企画管理室新技術実装グループ グループ長 川西 敦士氏
東京建物の中井氏は、スマートビル導入に関する取り組みを発表しました。AI空調やスマートフォンによるセキュリティシステム、ビル管理のデジタル化などを活用し、効率的なビル運営と利用者の快適性向上を目指しています。また、ウェルビーイングな環境の実現にも注力し、個々の利用者のニーズに応じたカスタマイズされたサービスを提供することを目指しています。一方で、ビル管理業務の自動化を進め、属人的な業務の削減と効率化も図っています。さらに、ビルのデータを一元管理するプラットフォームの構築を進め、運営管理のデータをAPI経由で活用することで、点検業務や異常検知の自動化を実現しています。今後は、ITとOTの連携を強化し、さらなるデジタル化を推進しながら、スマートビルの普及を目指す考えを示しました。
登壇者:東京建物株式会社 ビルマネジメント第一部 ビル営業グループ 兼テクノロジー実装推進チーム 課長代理 中井 康詞氏
CalTaの高津氏は、3Dデジタルツイン技術を活用した事業展開と、MODEとの連携について説明しました。CalTaは「TRANCITY」というプラットフォームを中心に、動画やドローン映像を基にした3Dモデルを自動生成し、インフラ設備の管理や保守に活用されています。また、MODEのセンサー技術と連携することで、リアルタイムデータの確認・分析を通じて、デジタルツインを活用し、対策立案や情報伝達をワンストップで行うことを目指しています。さらに、日本の技術を世界でより広く活用し、各企業の技術者がより多くの場面で活躍できるよう支援するのが目標だと語りました。
登壇者:CalTa株式会社 代表取締役 CEO 高津 徹氏
パナソニックの辻村氏は、製造業の脱炭素化推進に向けたAIアシスタントの活用と、水素を中心としたエネルギーソリューションについて発表しました。滋賀県草津市の同社工場における、太陽光発電、蓄電池、純水素型燃料電池を組み合わせたCO2排出ゼロのエネルギー供給システムは、天候や電力需要の変動に対応し、安定した電力供給を実現するエネルギーマネジメントシステム(EMS)によって運用されています。また、MODEとの連携により「BizStack Assistant」を導入し、現場で蓄積されたデータをAIが知識や知恵に変換することで、エネルギー効率の最適化や現場の課題解決を迅速に実現する仕組みを整えました。これにより、複雑な技術的質問にも即座に対応でき、営業現場の効率も大幅に向上しました。
さらに、この取り組みでは、迅速に質問に対応できる体制を整え、工数削減を実現しました。回答のばらつきもなくなり、質の高い対応が可能となっています。今後は、MODEのデータ活用技術をさらに活用し、環境貢献を財務価値に変換する取り組みも進めるなど、脱炭素化の提案力強化を図りつつ、より広範な課題解決に貢献したいと語りました。
登壇者:パナソニック株式会社 グローバル環境事業開発センター 環境エネルギー事業推進室 企画運用マネジメント課 主務 辻村 祐輔氏
西松建設の山下氏は、同社が進めるトンネル工事におけるDXの取り組みについて発表しました。特に、山岳トンネル工事を対象とした自動化・遠隔操作技術「Tunnel RemOS」の開発に力を入れており、無人化施工を実現するために各種重機の遠隔操作や自動化技術を進化させています。これにより、少子高齢化に伴う労働力不足や作業の安全性向上に貢献しています。また、2050年を見据えたスマート現場3.0のビジョンでは、デジタルツインを活用してトンネル工事を完全に自動化し、人・ロボット・AIが協調して作業を進めるシステムの構築を目指しています。さらに、MODEの「BizStack」を活用し、トンネル工事の稼働状況や設備管理の見える化を進め、効率的な作業運営をサポートしています。この取り組みを通じて、安全性の向上と省人化を推進し、将来的には労働力不足の問題にも対応できる持続可能な工事システムを構築したいと話しました。
登壇者:西松建設株式会社 技術研究所 副所長 山下 雅之氏
ニチレイロジグループ本社の勝亦氏は、同社の物流DXの取り組みについて発表しました。低温物流業界における深刻な労働力不足に対し、「どこでもできる化」と「誰でもできる化」を目指して、DXの推進を進めています。特に、MODEと協力した冷凍機の遠隔監視システムの導入により、複数拠点の稼働データの集約と可視化を実現し、監視業務の標準化を進めました。また、物流センター内での遠隔操作ロボットの導入により、寒冷地での作業負担を軽減し、労働力不足に対応しています。さらに、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用により、事務作業の効率化を図り、40万時間相当の業務時間を削減しました。今後は、技術基盤の整備を進めながら、データを活用した新たなエンジニアリングサービスの提供を目指したいと、語りました。
登壇者:株式会社ニチレイロジグループ本社 業務統括部 部長 勝亦 充氏
VCM(ベンチャークライアントモデル)は、大企業とスタートアップが協業し、双方に利益をもたらす手法です。大企業はスタートアップの革新的な技術を活用しながら迅速に自社課題を解決し、経済効果を生むことができます。スタートアップにとっても、VCMは大企業との協業によって安定した市場機会を得られるというメリットがあります。
パネルディスカッションでは、VCMを活用する企業の担当者が登壇し、それぞれが感じているVCMのメリットや導入時のポイントなどについて紹介しました。
FUJI 加藤氏・神谷氏からは、VCMを活用し、世界中の拠点を効率的に管理するプラットフォームを構築したことで、人的リソースの不足を補いながら、多拠点管理を容易にした事例を紹介。キトー 木幡氏は、VCMを通じてクレーンの点検作業を遠隔化し、安全性を向上させ、点検時間を半減させることに成功したと語りました。MODE 上野は、スタートアップの目線から、センサー技術やデータ解析を提供し、これらの大企業が抱える課題を解決しつつ、協業を通じてビジネスも拡大できたというVCMのメリットについて話しました。
登壇者:デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社 COO / パートナー 木村 将之氏
株式会社キトー 経営企画部 主任 木幡 寛司氏
株式会社FUJI ロボットソリューション事業本部 スマートファクトリー開発部 部長 加藤 大輔氏
株式会社FUJI イノベーション推進部 第2課 課長 神谷 一光氏
MODE, Inc. VP of Business 上野 聡志